重要な「管理能力」

金融系システムエンジニアの現場
金融業界のITシステムへの依存度はとても高いですが、IT専門の部署を持っていたとしても、それほど大きな規模ではないことが多いものです。そこで、不足している力を補うために、外部から多くのエンジニアをチームに迎えてプロジェクトを進めていくという特徴が金融系システム開発ではよくあります。外部のエンジニアは、システム開発専門に様々な案件をこなしている人達なので、高いスキルを持っています。しかし、それらのエンジニアはあくまでも仕事を請負う立場なので、管理者が明確な指示を出してプロジェクト内容に対する共通認識を持てるようにすることが重要です。ここで指示系統がしっかりしていないと、伝達漏れによる問題が発生してしまう恐れもあり、プロジェクトを円滑に進行させることは難しくなります。
仮に問題が発生したとしても、指示したことの範囲を超えているようであれば、外部のエンジニアがそれらを未然に防ぐということを期待するのは現実的ではないでしょう。このような事態を避けられるかどうかは、上流工程を担当するシステムエンジニアの管理能力にかかっています。
問われる管理能力
金融庁の管轄下にある金融機関は、法令等の変更に基づいてシステムの改変を行わなければなりません。旧制度から新制度へと変わる日はあらかじめ決まっていることなので、確実にその日に間に合わせる形でシステムを完成させなければならず、プロジェクトの管理責任者はスケジュール管理を徹底して行うことが求められます。しかし、プロジェクトに携わるメンバーが多く、規模の大きな仕事になってくると、進捗管理はより複雑なものになります。このような場合、作業の多くを外部のエンジニア達が担当することになりますが、管理責任者は進捗状況の確認を進んで行い、具体的に報告するよう指導を徹底し、現状を詳細に把握しておけるように注意を払わないと、実は気づかないところで進捗が遅れていて、問題解決に時間を取られていたなどということが期限ギリギリになって発覚するなどということも起こりかねません。
安易な仕様変更はミスの原因になる
金融系システム開発プロジェクトで起こりがちなのが、実装段階での急な仕様変更です。金融系システムの場合、小さなミスであってもダメージが大きいため、品質は限りなく完璧に近づける必要があります。しかし、途中で変更が出てくると、そのことで思わぬ悪影響が出てしまう可能性もあるため、綿密な検証作業を行う時間を確保しなければなりません。しかし、期限をずらすことはできないので、与えられた時間内で無理な変更を加え、十分な検証がないまま運用することで、それが大きなリスク要因になります。このようなことを防ぐためにも、管理者をはじめプロジェクトに関わる全員が、丁寧にコミュニケーションをとって、変更に関する枠組みもしっかり作っておくようにすると安全です。
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金融系情報システムの特徴
金融業界でシステムエンジニアとして働くことができる業種としては、銀行、保険会社、証券会社などがあります。それぞれのビジネスモデルによって必要とされるシステムの種類はいろいろとあって、同じ金融系だとしても、どのような業種を選ぶかによって、システムエンジニアに求められることは異なってくるでしょう。では、それらの業種で活用されているITシステムの概要とはどのようなものでしょうか。簡単にご紹介していきます。
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心掛けるべき「高品質」
金融系システムエンジニアに求められるのは、第一に「高品質」です。いくら機能性が良くても、計算ミスを起こしてしまうシステムであれば重大な問題に発展し、最悪の場合、経済活動がストップしてしまう恐れもあります。そうなれば、単に金融業としての信用を失くすだけで済むような話ではなくなります。そう考えていくとプレッシャーも多い仕事ですが、精度の高いシステムを構築するために徹底した努力を払い、無事完成した時の喜びは大きなものになるでしょう。
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高年収な外資系
システムエンジニアの年収は、働く業種などによってかなりの幅があります。その中でも金融系システムエンジニアは年収が高い方になりますが、さらに上を行くのが外資系です。外資系の場合、年収が1,000万円を超えるような仕事もあって、国内企業ではなかなか手の届かない夢のような年収が現実のものとなります。ただし、実力重視の外資系企業では、業績次第で突然のレイオフを言い渡されることもあるので、雇用は国内企業より不安定かもしれません。